９時間かけて頂上に着いて、登りきったうれしさと感動を味わったのも
束の間こんどは下山しなければなりません。
トイレをすませて外に出るともう薄暗くなっています。
S先生が「頂上で食べるカップヌードルは最高だ」
「頂上に着いたらカップヌードルを食べましょう」と言っていたが、
帰路の４時間を考えると５合目に着くのが２３時過ぎになります。
カップヌードルは諦めて下山に取り掛かります。
S先生から事前にヘッドライトは必ず持ってくるように言われていたので、
ザックの中から取り出して頭に装着。
必ず持ってくるようにと言っていたS先生が忘れています。
もうひとり持ってこなかったので２人１組でヘッドライトのあかりを
たよりに下山をはじめました。
月は満月に近かったのですが、ヘッドライトの照らす距離以外は暗くて
何も見えません。
下山道は砂利や砂地で足を取られます。
少しでも早く５合目に着きたいというあせる気持ちと裏腹に、登りで
疲れた足がいうことをききません。
何度か足を取られて尻もちをつきます。
７合目まであと何ｋｍと標識が出ていますが、歩けど歩けど７合目に
たどり着きません。
やっとたどり着いたと思い時計をみるとまだ２１時過ぎです。
４時間かかるとするとまだ半分しか来ていません。
無言で降り続けやっと山小屋の灯りが見えてきました。
そこからの道は登りと合流するので、２３時をまわる時間でも続々と
登ってくる登山者とすれ違います。
「こんばんは!」とすれ違いざまに声をかけても返答がありません。
そのほとんどは外国人のようです。
そんなこんなでようやく５合目まで降りてきました。
時計を見ると２３時１５分。
１０時２０分に登りはじめてやっとのこと着きました。
乗用車の乗り入れ規制で車は麓の駐車場に停めてあります。
シャトルバスも終了しているためタクシーを呼んで待っている間
仲間で健闘をたたえあい疲れた体を休めました。
４月末に急遽決まった富士登山でしたが、いつも下から眺めていた富士の
頂上に立つことが出来ました。
ゆっくりでも休み休みでも目標があれば必ず達成出来ることを
あらためて今回の富士登山で学びました。
また来年登るかどうかはわかりませんが、一生の思い出とともに
やりきった達成感を味わいつつこの経験を生かしていきます。
一緒に登った３名にあらためて感謝いたします。
